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自分に合った税理士とは
相性だけでなく、現実を直視したマッチングを
自分に合った税理士に頼もう。これは誰もが考えることです。
問題は何をもってして、自分に合っていると判断するかです。
まず、どんな場合でもあてはまることですが、あなたが税務のことや経営のことを相談しようとする税理士とあなたとの関係は、しょせんいろいろな性格をもった人間と人間とのかかわりであるということです。
すると、性格や気質が合うとか合わないという問題がさっそく意識に浮上してきてしまいます。
これはご承知のとおり厄介です。スーッと波長が合ってしまうこともあれば、なかなかしっくりゆかずに気軽に相談や質問もできないということもあります。
そうなってしまうと、たしかにまずいですね。しかし、だからといって、あまり簡単に結論を出さないほうがよいと思います。というのは、いくら人間と人間の関わりだといっても、当事者の心理とは無関係に会社の現実というものがありますから。会社を救い、育ててゆくという課題の前に、相手とまだ表面的に接し始めたばかりの時期のちょっとした印象だけで、「どうも相性が悪い。この先が心配だ」などと決めつけるのは、考えものでしょう?
これは、患者と医師の関係を考えれば、すぐにわかることです。
診療の目的はあくまで病気を根治することです。医師が無愛想な人であろうが、怖い人であろうが、見立てが確かで腕がよければ、問題はないはず。
逆にどんなに気が合う先生であっても、肝心な病気が治せないなら、そもそも医師に身を預ける意味がありません。それと同じことです。性格的に相性が良いと思われる税理士でも、あなたの会社のためにならなければ、話になりません。
では、もっと大切なものはなんでしょうか。
お互いの心象や話しやすさなども軽視することはできませんが、それ以上に気をつけていただきたいのは、あなたの会社が成長の過程において現在どんなステージにあるのかという現状把握です。
それによって、何を税理士に求めるかが大きく変わってくるからです。
起業したばかりの発展途上にある会社なら、支出をいかにカットするかが課題ですから、高い顧問料を支払う代わりに自社で経理をやってしまおうという方針が立ちます。
そこで会計ソフトを導入する支援が得意な、低料金の税理士に頼めばよいことになります。
一方、完全に軌道にのり、業績が伸びている会社だったら、経営相談の経験が豊かな税理士が必要になります。
要は自社が今どんな状態で、どんな支援が最も有効なのかを知り、そのうえで得意分野のそれぞれ異なる税理士の中から最適な税理士を選ぶことができるかどうかにかかっています。
まずは己(おのれ)を知ることです。そのうえで相手をよく知ることです。
今のあなたにとって、いちばんふさわしい税理士がこの世に必ずいるはずだと想像して、アンテナをはっておきましょう。
そして、出会えたかなと思ったら、果たしてお互いが喜び感謝し合えるような関係になれるかどうか、実際に相手に会って、たっぷりと話をする機会をつくってみることです。
最適なマッチングが実現することを祈ります。
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